住宅型高級有料老人ホームに入居中の利用者。ケアマネやケアスタッフからあれこれ言われるのが大嫌い。元経営者だからか、指示することはあっても指示されることに大きな抵抗がある。興奮すると大声で怒鳴る。
介護サービスでも何曜日の何時から入浴しましょうとヘルパーが訪問しても、「今日は入らん!」の一言で2回もキャンセルとなっていた。もう1週間入浴が出来ていない。自分が入りたい時に、なぜ入られないのか?というのが言い分。
本日入浴予定日。突然ヘルパーが訪問しても又同じ結果にならないかと心配され、30分前に訪問した。和やかに、気分を害しないようユーモアを交えておしゃべりしながら、
「あら?もうすぐお風呂入れにヘルパーさんが来る時間ですねえ。楽しいお話が出来てよかったですう!」と言うやいなや、ピンポーンとインタフォンの音。こんにちは!と元気よく挨拶して入ってくるヘルパーさんに、
「そろそろお風呂に入る準備しましょうかって、言ってたんです。あと、お願いしますね。」とバトンタッチした。
浴室まで廊下を一緒に歩いていると、私の顔をまじまじと眺めて利用者が言った。
「なんだかなあ・・・・。いつのまにか、あんたの言いなりになっとらんか?」
「そんなあ?! 気のせいですよ!」と首を振りながら、答えたが、こみ上げる笑いをこらえることが出来ずに、涙が出るほど笑った。
この利用者との小さな壁をひとつ乗り越えたような爽快感を感じた。
宇野 恵子
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