ボロボロのアパートに住んでいる親子。母親認知症。息子様知的障害がある。締め切った狭い部屋に住んでいるものだから、畳はカビで真っ黒になっている。(泥棒が入ってくるってさ。)最近サービスに初めて入ったヘルパーさんが、5年ぶりに喘息発作をおこしたらしい。駆け込んだ病院で、「埃かカビの多いところにいましたか?」と言われたそうだ。当然、あの家には二度と行かないと言ってきた。
何とかしなければと包括に相談したのは1年前。社会福祉協議会に生活費の管理もしてもらうことにした。毎月少しずつ貯金し、引っ越しが出来るようにとお願いした。
そして、社協の努力が実り、どうやら安いアパートなら引っ越しが可能なぐらい貯まった。たった今、その息子様から電話がある。
「引っ越し出来るの?いつ?どこ?」 「来週、そのことも含めて後見人と訪問しますね。リサイクルショップで新しく家具もそろえましょうね。」というと、とても嬉しそうに電話を切った。
ウフッ。ちょっと楽しみ。以前も一人の利用者の転居にかかわったが、その利用者はお金がなかった。家具もなかった。たくさんの人の善意に頼り、無料、あるいは格安で準備に奔走した。今、その利用者はおだやかに過ごしている。
しかし、今度は違う。なにせ、お金がある。引っ越しのお金も家具を買うお金もある。その上、後見人はいるわ、包括はいるわ、社協はいるわ・・・・一人であれこれ悩むことがないから気持ちの上で、余裕がある。全ての手続きは後見人にお願いしょう。
さあ、貧しくても一生懸命生きてるこの親子に住環境を整える時がきた。
宇野 恵子
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