私の利用者で、認知症の検査でよく使う長谷川式では、30点満点の24点をとり、80歳にしては、記憶力に何の問題もない人がいる。
ただひとつ困ったことに妄想が激しい。最近とみにその症状が悪化してハラハラさせられている。先日の受診日。ヘルパー同行で病院に行くはずだったが、「病院に行かないといってあります。」とのヘルパーからの連絡で、訪問介護の管理者がすぐに自宅に飛んだ。利用者の言い分は、「今日は、中州に寿司食いに行かないかん。お~い。はよ、行くぞ。」と、誰もいない洗面所の方を向き、声をかけている。何でもその人は今顔を洗っているらしい。
定期受診している病院の主治医は女医さんである。初めてそこを受診するときに同行した。診察が終わり、帰る道すがら、唐突に
「あの女医は俺に惚れとる。」
といって、ニタっと笑った顔がとても可愛かったなあ。だけど、妄想に固執した時は、いくら説明しても納得が得られないことが多く、ちょっと困ったちゃんではある。なじみのヘルパーは、「今日はどんな話がでるか楽しみです。」なんて言って、うまくその妄想につきあっている。
受診時に症状を逐一報告し、それにより、薬が何度か変更となったが、なかなか症状の改善までは行かない。幸いなことに地域の民生委員や区長さんがよく理解してくれ、地域に見守られている点では、他の地域にはない安心感がある。
お金の計算もできるし、交通機関にも乗ることが出来る。だからこそ、行方不明となった時に探しようがないが、今のところ、まだ大丈夫かなあ・・・・・あとは神に祈るしかない。どうか、とんでもない妄想にかられませんように・・・・
宇野 恵子
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