85歳以上の4人に1人は、認知症になると言われている。当然、私の担当する要介護者の20人は認知症の診断がついている。みんな結構進行しているので、いつどこで、誰がとっぴな行動をやってもおかしくない状況ではある。
朝一番の特報。日頃から妄想的発言は多かった。国会中継をテレビがやっていれば、
「国会にいって、答弁せなならん。」と外出しょうとする人だ。
「交番から電話です。」と言われ、緊張した。なんでも、朝早くタクシーをとめ、言った言葉が
「日本大使館に行ってくれ。」だった。首をひねったタクシーの運ちゃんの機転がよかった。そのまま利用者を乗せて、交番に連れていってくれたのだ。バッグの中に、何かあれば訪問介護事業所へ連絡するようにとのカードを入れていたので、すぐに連絡がついた。めでたし、めでたし・・・これは、ちょっと笑える出来事だった。
午後、サービス担当者会議の最中に電話がなる。
「○○さんが行方不明です。」 この利用者は、かなり進行した認知症で、最近徘徊のきざしが出てきたなあ・・・と心配していた利用者だ。一大事とばかりに、本部の職員と私も会議を中座し自宅にむかった。
職員があちこと探したにも関わらず、ふとみれば、自分で帰ってきていた。ほっと胸をなでおろす。奥様に強くなじられ、まあプチ家出というところか・・・
認知症があっても在宅生活を安全に過ごしている人はごまんといる。しかし、徘徊が頻繁にあるようになったら、在宅生活の限界が近づいたと考えざるを得ない。
2~3年前を思い出す。週に2~3度は行方不明となっていた利用者がいた。そのたびに、職員総出で捜索に当たっていた。しかし、見つからず、一般住民の人が胸の名札を見て通報してくれる回数がふえた時点で、措置入所の手続きをとった。
おそれるのは、徘徊により事故などに遭遇し、身の危険性が高まることだ。もう在宅は無理だろうか・・・?決断の時だ。
宇野 恵子